第4章 Z=3 科学+魔導=マンパワー?
人の気配が遠くに行ったことを確認し、ルーチェはゲンの口から手を離すも、息苦しかったのか、ぜーぜーと、肩で息をするゲン。
ゲンの様子などお構い無しにスティックをつきさし、無言の圧力でさっきの続きを問う。
「なぜシーラのことをしっている。それに、シーラの魔導力を貴方から感じる。なぜ?」
「あぁ、シーラちゃん、司ちゃん帝国にいるからねぇ。もっとも、彼女の瞳に写ってるのは、司ちゃんじゃないみたいだけど。でさ、別に魔導士どうこうしようと思ってないから、この杖みたいなのおろしてんくない?」
「信用出来ない。」
「ドイヒー。わかったわかったよ。シーラちゃんの名前を出したのは、シーラちゃんからルーチェちゃんにお届けものがあったからだよー。」
母からのお届けもの、ときいてゲンの体からスティックを話す。
もう、勘弁してよねぇ、と言いたげに、呼吸を軽く整え、胸元をゴソゴソと漁るが、体にはあれこれマジック用の仕込みがあるため、あれぇとかいいながら探す。
少し時間をかけて、やっと見つけたと、鍵のチャームが着いたネックレスをルーチェにわたす。
「はい、これ。ルーチェちゃんのこと心配してたよ。この鍵があの子を救うことになるって、俺に言いながら渡してきてさ。」
ルーチェからしたら見覚えのない鍵だが、そこからは微かに母の力の残骸を感じる。
その力に少し感動を覚えたのか、無意識で涙が頬を伝う。
「シーラは、母様は、生きてる?」
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