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幻想科学物語

第3章 Z=2.5 Xデーの後日譚





「か、かあさま!なんでここに」


ようやく正気を取り戻したのか、ルーチェはシーラに問い出す。
治安部隊の騎士ともあろうものが、村を放棄してここまで逃げ込むなんて、とだいぶ軽蔑した目で見る。


シーラとて悔しかったのか、言葉に出さず、ただある1点だけを目指して走る。


どれくらい経っただろう。しばらく走るうちに視界が開けた場所にきて、ようやく2人の足がとまった。


ルーチェは疲れたのか、はぁはぁ、と肩で息をする。
シーラは疲れ知らずなのか、ナイフをあっという間につくりだす。


(ナイフ…一体何に?)


ルーチェはシーラの方を不思議そうに見つめる。
いつ宵闇の魔導士が姿を表すかわからないのに、ナイフで応戦する気なのか、と不思議そうにで見ていたら、シーラは手首を深くきりだした。


その行動に呆気にとられていると、どこからともなく強風がルーチェにあたり、平地の真ん中に吹き飛んだ。


「痛っ!母様ほんとにどうしたの!さっきから様子が…」


ルーチェが強風を出したのは一目霊山で、一言文句言おうとおもい叫ぼうとしたが、ルーチェは眩い輝きにいて、絶句する。


シーラは優しい女神のような頬笑みを浮かべ、大声をだした。


「ルゥルゥ、あなたは村の希望です。遥か彼方から、いづれ宵闇を晴らし、陽の沈まぬ明るい世界を取り戻しなさい。」


「母様、なにいって…」


シーラは涙を流しながら、なにやら詠唱をはじめた。
すると、ルーチェは暖かなピンクの光に包まれ、意識をうしなった。

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