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幻想科学物語

第3章 Z=2.5 Xデーの後日譚





「母様、例の物は?」


ルーチェの言葉にこれまで取り乱していたシーラは時を止める。


例の物、つまり、村の外れの教会に封印してある、宵闇の魔導書、のことを指す。


シーラはこれまでと違い、冷静に、そしてその場が凍るような雰囲気でルーチェの言葉にかえす。


「ルゥルゥ、あの光からなにか、感じたの?」


「いいえ、なにも。ただとんでもないエネルギーだった。
宵闇の魔導術にはとてもじゃないけど、感じなかった。」


「私もよ。最初は疑ったけど、剥がれたあとの石からはとくに、ドス黒い感覚はなかった。別のものだと思う。」


「とにかく、村の外に出て、何が起きたか、調べなきゃ。」


さすが親子と言うべきか、成すべきことが一致したのか頷く。
早速外に出るための準備に取り掛かろうとしたとき、玄関からコンコンというノックをする音が聞こえた。


シーラとルーチェは顔を見合わせる。
2人とも黙ってペンダントに手をかけ、スティックを構える。


シーラはそのまま、玄関の方にいき、ドアをそっと開けた。


「やぁ、シーラ君。君なら大丈夫だと思ってたけど、体調はどうかね。」


「ミスターキール。貴方も復活できたのね。」


ミスターキールと呼ばれた男は片目にメガネをかけており、白くて長い髪を後ろで一括りにしている、神父様みたいな格好をした男性だった。


ルーチェも安心したのか、玄関に近づき、キールに挨拶をする。


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