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幻想科学物語

第2章 Z=2 来訪者A





「クロム、早く。」


ルーチェに急かされ、我に返ったクロムはあわてて、あっちと、方角をおしえる。
そして、素早く必要な木材、縄をまとめ、何も告げずにその場を後にした。


ルーチェは、しばらく歩いたあと、誰も見ていないことを念入りに確認し、ペンダントを握りしめ、スティックにして、呪文を唱える。


「自然よ、我らが存在を秘匿せよ。プロタクタ。
風よ、我らを浮かび上がせろ、フーガ。」


そう唱えると、ルーチェの体は一気に空へと上層する。
スティックで風の流れを受け止めながら、クロムからおしえてもらった方角を目指す。


一直線に向かうと、やがてはげ山と呼ばれた場所に付いた。


ルーチェは急いで着地し、木材を下ろしてスティックを一振する。
木材が浮き、あれよあれよ、と簡易的なヤグラを作る。


「ウィンディ・カッター。」


ついでと言わんばかりに、森に降り、比較的古い木を1本、切り倒す。
そして、その木もある程度形を整えた大きさに揃え、はげ山の方にもっていく。


そこからは余った縄をたくさん複製させ、ハシゴを作り千空たちが登りやすく、山の上からハシゴを下ろす。


作業を終え、姿を再び表し、千空たちのことをはげ山で待つ。


「おう、ルーチェ、とてもおありがてぇもん、クラフトしてくれてたすかったわ。」


そう言いながら、山に登ってきた千空たち。
ルーチェの方に近づき千空は片手をあげる。ルーチェも気づいたのか、ハイタッチをかえした。


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