第1章 Z=1 魔導士R
「短剣に、下着。あなたこそ、何者。」
至極真っ当な質問だ。
というのも、彼女の服装、胸に辛うじてブラっぽい布、下は何故かフンドシみたいなものを付けており、なにかカバンみたいなものをたすき掛けにしている。
対してルーチェは、茶色のマントに白のブラウス、膝上丈のプリーツが入った青いスカート、茶色のブーツと、着込んでいる。
どっちが不審者、と相手に指摘するも、相手は恥ずかしげもなく堂々と答える。
「ふん。私はただ、川で拾い物をしていた。だからこんな格好しててもおかしくない。」
ほれ、と金髪の女子は、黒い塊をカバンから取り出す。
それをルーチェの目の前に出し、見せつけてドヤ顔で言い放った。
「さ、砂鉄と磁石。なぜ。」
「ん?貴様、これを知っているのか?」
ルーチェはコクっと頷く。
その返答に、下着姿の女も少しは警戒を緩めたのか、緊迫してた雰囲気が和らぐ。それを察したルーチェも、警戒をとき、無表情に戻った。
「砂鉄。そのままじゃ使えない。
それだけだと対した大きさにならない。」
取るのもで大変なのに、と追加で呟く。
相手はその呟きに、少しムスッとした表情になり、大人しく黒い塊をしまう。
そして、少し切なそうな表情を浮べ、相手に聞こえるか聞こえないかの大きさで呟く。
「姉者を救うためだ。そのために砂鉄がいるらしい。」
「姉者?」
「あぁ。わたしにとって、とても大事な姉者だ。村にとっても、な。」
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