第16章 Z=15 魔導士の剣、科学の灯
「千空たちが科学で救うなら、私は魔導と医学で世界を救うためのサポートをする。先生や母様、みんなに恥じないように生きていく。」
だから見守っててね----
そこまで言い切ると、背後から足音が聞こえた。
「おっつぅ、ルーチェちゃん。」
その声色にルーチェは振り向くことなく、静かに、ゲンか、と呟いた。
ゲンは、無言でルーチェの隣に座ると、シーラの墓標の前に花束をそなえた。
「花束…いつの間に……」
「司ちゃん見送ったでしょ?シーラちゃんの分も作っといたのよ。これでも、お世話になったしね。」
そういうと、ゲンは手を合わせた。
「……ありがとう。」
「どういたしまして。」
言葉はそれだけだった。
お互いに無言でシーラの墓を見つめるが、ゲンはなにかを決めたようにすうっと息を吸った。
「ルーチェちゃんはどこにもいかないよね?」
「は?」
ゲンの唐突の言葉に面食らった表情をしてゲンを見つめる。
ゲンは言葉を続けた。
「ほら、なんていうの?ルーチェちゃんの中で目標は達成されたわけじゃない?だから、そのうち出ていくのかな、って思って。」
そう尋ねる声はどことなく寂しさを含んだ切ない声だった。
ルーチェはあぁ、と言ったあと溜息をつきながら答えた。
「私がいなくなったら、怪我したらどーするの。それに、司さん、救うんでしょ?私はどこにも行かないよ。」
その言葉にゲンはだんだんといつもの表情に戻って行った。
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