第16章 Z=15 魔導士の剣、科学の灯
「聖剣の使い方を正しく学べばその力で守ることもできるのよ。あなたならきっと大丈夫。」
あなたには既に強い味方がいる。必ず闇を打ち破れる-----
そういいきったシーラの表情は女神の微笑みのようで、気持ちに落ち着きと冷静さがもどってきた。
と、同時にルーチェの雰囲気も柔らかくなる。
「母様、ありがとう。聖剣に触れてみる。」
そう告げると、聖剣の方へと近づいた。
ルーチェは深呼吸をして、自分の心を整え、最後に手を合わせた。
(太陽の光女神さま、魔導士のご先祖さま、聖剣をお借りします。どうか、見守っててください。)
そう祈りを捧げ、立ち上がる。
ルーチェは燃え上がる聖剣に近づき、触れた。
ルーチェが柄に触れると炎が先程よりも強くなった。
気にすることなく聖剣を持ち上げようとするが、重たいのか、なかなか祭壇から引き抜くことができない。
その間にも炎はルーチェの方に襲いかかる。
まるで、聖剣の持ち主として相応しいのか試すかのように。
炎の熱さや、飛び火でできた火傷の痛みに耐え、聖剣を引き抜き続ける。
少しづつではあるが聖剣は祭壇から切っ先を覗かせており、あと少しと言うところまで来た。
(あと少し。この聖剣をつかって、宵闇の魔導士を倒して、それで、私はこの世界に陽を灯す。)
ルーチェは叫びながら、闇に染めさせはしない、と強く念じ、聖剣を取り出した。
ルーチェの強い思いを聖剣も感じ取ったのか、聖剣の炎は落ち着き、ルーチェの体についた傷を癒して行った。
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