第16章 Z=15 魔導士の剣、科学の灯
先程までの優しい笑みとはうってかわり、真剣な表情で注意をするシーラ。ルーチェは母の手厳しい言葉を聞いてぽかんと口を開けたままだった。
教えてくれてもいいじゃない、と言いたげに感情を押し殺した表情で見つめルーチェに続けてシーラは言葉を続ける。
「ルゥルゥ、覚悟はいいですね?」
ルーチェに聖剣を持つ覚悟はあるのか、資格はあるのか、審判者のようにルーチェに問いかけた。
狼狽えたり震えたりせず、かといって、殺気を放つ訳でもなくただ静かにたっているものの、その心のの中では色々な恐怖とたたかっていた。
(怖い…。再び失うかもしれない、村だけでなく、科学王国や司帝国のみんな、ゲンを失うことが…怖い……)
迷いと恐れ。
ルーチェが感じている気持ちをシーラは読み取り、ただ静かに待ち続けた。
(きっと、試練の間になにかあったら、と心配してるのね。ルゥルゥら大丈夫だとは思うのだけど…)
互いに無言の時間が続く。
が、やがてシーラの方が根負けし、ルーチェの頭にそっと手を乗せた。
「あなたなら大丈夫ですよ。守りたいものが、できたのでしょう?」
「え?えぇ。」
なぜ、シーラが知っているのだろうか、という疑問を抑え込み、短く頷いた。
シーラも、肯定の返事を聞いて嬉しく思ったのか、いつもの優しさ溢れる笑顔を浮かべる。
「ふふ、詳しく聞きたいけど、時間は有限よ。友達を失いたくないのでしょう?」
「…うん」
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