第16章 Z=15 魔導士の剣、科学の灯
「……取るか。」
考えても仕方ないし、LINNはいつのまにかどこかへ消えている。
それでも、聖剣を手に入れなければならない。
ルーチェはそう結論づけ、聖剣の元まで歩き、触れた。
否、触れようとした。
ゴオォオオ
聖剣が炎に包まれ、ルーチェは後ろの方へと退く。
(は…これ触れてもいいの?)
ルーチェはその場に立ち尽くし、真っ赤な炎に包まれた聖剣を見ることしかできなかった。
(-----どうしたら、いいの。このまま触れても火傷する。)
どうしたものやら、と思いながらチャームに手をかけ、スティックを展開しようとした、その時だった。
「それは陽の聖剣、です。覚悟なき者が触れれば陽は炎となりその身を焼き尽くすでしょう。」
背後から聞き覚えのある、優しい女性の声が聞こえてきた。
ルーチェはゆっくりと振り返る。
「か、かあまさま??」
そこには、最後に見た時よりもわずかに歳を感じるシーラの姿があった。
「か、かあさま、なんで…」
「待ってたわよ、ルゥルゥ。ここに来ることを見越して魂の断片をここに置いておいて正解だったわ。」
そういうと、シーラはにっこり笑う。
その瞳は、ルーチェと同じく優しいピンクダイヤモンドの色合いだった。
「母様、どういうこと?あの戦いの後、ここに魂の断片を置いておいた??」
「ルゥルゥ、今は魔導の授業をしている場合じゃないのよ。知りたくばここでしっかり学ぶこと。わかったわね?」
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