第16章 Z=15 魔導士の剣、科学の灯
しばらくして沈んでいた床がそっと止まった。どうやら、目的地に着いたらしく、ルーチェは静かに立ち上がる。
ルーチェの目の前には薄暗がりな道が真っ直ぐにひろがっていた。
「Miss.ルーチェ、ついてきてください。」
肩に止まっていたLINNがルーチェの前に出て、そういうとその暗がりの中を飛んでいく。
ルーチェはLINNの後をゆっくりとついていった。
「フルース」
二人の前には明かりもなにもない通路があり、ルーチェはスティックの先端に明かりを灯す。
二人はしばらくは無言で歩いていたが、空気に耐え切れなかったルーチェが口火を切った。
「あ、あのLINN…その、ここは……」
「このさきにMr.キールたちがまもりぬいたものがあります。わたしからいえるのはそれだけです。」
LINNはそれだけ言うと、ルーチェは満足いかなかったのかなにか考えこむような表情を浮かべたまま歩みを進めた。
長い長いその道の先には、蒼白く輝く結晶でできた部屋に到着した。
「なに、ここ…LINNここは一体…」
ルーチェは目の前に広がる広間の景色を見てLINNに話しかけるが、いつの間にかLINNの姿は消えていた。
その代わり、中央には祭壇のようなものが現れ、中央には1本の剣が祀られるように飾ってあった。
(うん?あれが聖剣?にしてはどこか普通のような…)
ルーチェはしばらく祭壇を見つめた。
神秘的な輝きではあるものの、見た目は普通の剣。これが聖剣とはとても思えなかったのだった。
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