第16章 Z=15 魔導士の剣、科学の灯
ルーチェは静かに森の中へと降り立った。
森の中でも1番大きい木の前で、鍵を血で染め、伝承の詩を唱えて叡智の図書館への扉を開いた。
扉を潜るといつもの通り水晶がのった台からLINNがルーチェの前に現れる。
「Miss.ルーチェ、今日はどうしましたか?」
「LINN、母から聖剣のことを聞いたの。宵闇の魔導士を倒すために、
聖剣が必要で、ここの奥にある、って聞いて…」
いつもは、ルーチェが要望を聞くと案内するLINNだったが、今回は珍しくルーチェのことを黙って見ていた。
「LINN??」
「……Mrs.ドーラは?どうしたのですか?」
LINNは無機質な紅い瞳をルーチェに向けたまま聞く。
ルーチェはありのままの事実をLINNに話すと、LINNは瞳から紅い光線をだし、ルーチェの額に当てる。
ルーチェは少し身じろぐが、きっと記憶を見ているのだろう、と思い、じっとした。
暫くして光線は消え、LINNはルーチェの顔の前にプカプカと浮かんだ。
「Miss.ルーチェ、エイチノマへとごあんないシマス。」
「叡智の間??LINNなにをいって…」
ガタンッ、という物音がして、ルーチェは思わず体制を崩す。
水晶を中心として半径1mぐらい、ゆっくり床が下へと落下し始めたのだ。
「LINN、これはいったい、なんなの?」
ルーチェがLINNに問いかけるも、LINNは無言のままだった。
仕方なく無言のまま、この降下が止まるまで、静かに待った。
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