第16章 Z=15 魔導士の剣、科学の灯
あれから代わる代わるルーチェへの見舞いがたくさんあった。
心配する声、安堵の表情、無茶しすぎと怒るものからお礼を言う人、様々だった。
それらが続き、気づけば日は沈み、夜となっていた。
見舞い客への対応をしながらも体を休めたルーチェ。
そのおかげなのか、眠りにつこうとしても、なかなか寝付けず、意識が冴えていた。
ルーチェはゆっくりと目を閉じる。
脳裏に浮かぶのは、母との思い出、石化したこと、イシガミ村のみんなや、千空たちと科学王国を作ったこと、医者として司帝国の面々を救ったこと。
そして、母との戦い、遺言。
『私が死んだあとは、【叡智の図書館】の奥に行きなさい。そこには、我々騎士隊が心血を注ぎ守ってきた"聖剣"があります。
----宵闇の魔導士は、"聖剣"でのみ、倒せます。』
母が苦しげに息も絶え絶えに残してくれた言葉。
そして、最後には、優しげに微笑みながら自分の胸の中で息絶えた。
(…宵闇の魔導士、母や村の仇をとるなら、聖剣を探さなきゃ。)
闇をの力の脅威を晴らし、世界を元に戻すため。
母や村のみんなの敵を討つために。
ルーチェは静かに目を開けて、ゆっくりと体を起こす。
そして、出かける準備、といっても、マント羽織ったり、チャームをつけたベルトを腰に巻いたり、といったことだが、すすめた。
準備を終えたルーチェは、テントの入口をそっと開ける。
夜の空気はとても静かで、それでどこかひんやりしていた。
ルーチェは移動の呪文を唱え、森の中へとむかった。
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