• テキストサイズ

幻想科学物語

第16章 Z=15 魔導士の剣、科学の灯





ちゅんちゅん……


小鳥のさえずる音でルーチェは目を覚まし、ぼーっと周りを見渡す。


(あれ…ここは……)


ルーチェがあたりを見回すと、だんだんと意識が覚醒してきた。
と、同時にルーチェはガバッと起き上がる。


「は、そうだ。司さんのバイタルを確認しなきゃ…」


司のことを思い、布団から出ようとしたとき、訪問者が現れた。


「おっはー、ルーチェちゃん。おきた?」


「……あさぎり、ゲン…」


入り口には、ごはんのトレーをもった紫を基調とした和風な服装に身を包んだ男、あさぎりゲンが立っていた。


「とりあえず、目を覚ましたんだね。よかった。」


そういうと、ルーチェの寝床のそばに座る。


「司さんは…どうなったの…」


「……ルーチェちゃん、司ちゃんは、コールドスリープさせることになったよ。今はみんなで冷蔵庫作成中。もちろん、司ちゃんは現在息をしているよ。」


ゲンの報告を聞いて、ルーチェは拳を握りしめる。
その体は悔しさに震えていた。


「この手で、救えなかった。悔しい…」


震えて泣き出しそうになっているルーチェ。
ゲンはルーチェの拳の上から手を重ねる。


「ルーチェちゃん、救えなかった事実よりも"救おうとする意思"が一番大事なんだよ。ルーチェちゃんはよくやったよ。」


返す言葉なく、ルーチェはただ俯く。


--未来に繋ぐ。
千空に言われた言葉が、浮かんだ。


「……ありがとう、ゲン」


「どういたしまして。ゆっくり休んでね。」


そういうとゲンは朝ごはんだけを置いて、テントからでていった。


.
/ 363ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp