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幻想科学物語

第15章 Z=14 完璧な医者と不完全な魔導士





その晩は怒ったようなルリをなんとか宥めて、夕飯をみんなで食べる。


ルーチェは食べ終わると、すぐに食器の片付けをして、自分のテントに戻り、カルテと記録の記入。


終わったあとは寝ようと薄い毛布に身をくるめるがやはり中々寝付けず、外に出ては薬草採集や、衛生用品の作成などを行った。


そうしてるうちに、日が登り朝はやってくる。
今度こそみんなと朝食を取り、いつものように患者の診察を行い、一息ついていた時にそのニュースは飛んできた。



「ルーチェ!すまねぇ、すぐにこっちにきてくれるか!?」


「く、クロム?どうしたの?すごい顔が真っ青だけど……」


すごい勢いで走ってきたのだろう。ぜぉぇはぁ、ぜぇはぁと呼吸を整えながら顔をあげ、ルーチェの方を真っ直ぐみる。


「報告が2つある。まず1つ目、司の妹、ミライがみつかって、無事石化から復活した。」


ルーチェは良かったと、内心胸を撫で下ろした。
が、クロムの声は嬉しそうなものではなく、興奮と焦燥が混じったものであり、どこか様子がおかしいことにルーチェは気づいた。


「次に2つ目…司が……氷月にさされた…」


「……司、さんは?どういう状況!?」


一瞬ルーチェの中の時が止まったが、すぐに冷静な判断でクロムに聞く。


クロムは千空から聞いた情報をそのまま伝える。
ルーチェは情報を聞きながら、医薬品セット、手術道具などをまとめる。


「クロム、司さんのところに案内して。」


「わかった!」


ルーチェは短い書き置きを残し、クロムとともに司が寝かされている部屋へとむかった。


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