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幻想科学物語

第2章 Z=2 来訪者A





「ハァ.....ハァ.....カハッ。ゲホッゲホッ。」


千空は必死に背中を摩る。
ルーチェの呼吸は落ち着いたり落ち着かなかったり、だ。


(な、なんで、こいつが、わたしのニックネーム、知っている。)


ルゥルゥ、それは、2人にしか許してない呼び方だった。


1人は、母、もう1人は-------


『ルゥルゥ、君の人生は自由だ。』


そう言って村の外に出て何かを学ぶように薦めた魔導術の師匠だ。


ルーチェは色んな記憶が蘇り、なおも落ち着く様子は無い。
その様子を見て、ゲンはずいまー、と罪悪感を感じていた。


「めんご〜、話に聞くだけ聞いてたけどさ。
まさかほんとにいたとはねぇ、魔導士。」


魔導士という言葉に、多少何かを感じたのか呼吸が落ち着く。


そして、千空の手をそっと握り、おろして、立ち上がり、服の中からペンダントを取り出す。


「何者?答えなければ、今ここで記憶と存在を抹消する。」


心の中で、スティックの解除を強く念じる。
すると、胸元が光り、ペンダントに着いていた宝石が細長くなる。
10秒ほどで、ペンダントから、細長く、先端にはピンクダイヤが着いた薄ピンク色のステッキがルーチェの手の中に現れた。


それを見た千空は驚くでも、怖がるでもない、冷静に分析をしていた。


(あーやっと繋がったわ。ルーチェの正体は科学じゃ証明不可なもんだ。けど、これは唆るなぁ。)



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