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幻想科学物語

第15章 Z=14 完璧な医者と不完全な魔導士






ルーチェは爆発音の聞こえた方、奇跡の洞窟の手前で着陸する。


魔導で辺りを見回し、特に異常などないことを確認し、みんなの元へと駆け寄り、近くにいた男性に声をかけた。


「……けが人は!?」


「点呼をとったが、怪我人はなし。生き埋めになった人もいない!」


(良かった……)


ルーチェは心の奥底から誰も死んでいないこと、傷ついた者がいないことにホッとした。


「おや、ルーチェ。わざわざ飛んできたのかね?」


「カセキ翁。えぇ。爆発音が聞こえてすぐに飛んできました
。」


「おっほー、そうじゃったの。来てくれたついでに、これ、直せそうかのう?いかんせん、奇跡の洞窟がないと、科学の武器が作れんからのう……」


「……地震、というわけではなそうね。爆発物?」


「あ、あぁ、なんか、ダイナマイトをつくってたなぁ、そういえば。」


「だ、だいなまいとぉおおおぉお!?」


ルーチェは顔を引き攣らせながら、男性に事のあらましを尋ねる。


男性は千空たちがダイナマイトもどきを作りあげ、司の妹、ミライの命と引き換えに停戦に持ち込んだと説明した。


「なるほど。それで、停戦、ね。理解したわ。」


崩れた原因がわかったので、ルーチェはカセキの方に向き直る。


「奇跡の洞窟の修復は……難しい、です。ごめんなさい。」


「そ、そうか…無茶言ってすまないのう。」


ルーチェが申し訳なさそうに告げると、カセキも仕方ないと言わんばかりに納得した。


まだ、診療があるから、と告げてルーチェは浮遊し、空を飛んで自分のテントへともどった。


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