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幻想科学物語

第15章 Z=14 完璧な医者と不完全な魔導士






ちゅんちゅん-------


ルーチェは小鳥のさえずる音とテント内に差し込む太陽の光で我に返る。


ルーチェはテントに戻ってカルテを書き終わったあとも中々寝付けず、医療具の手入れや衛生用品と薬剤の確認、複製などをおこなっていた。


つまり一晩中起きていた訳だが、体に特に異常はなく、健康そのものだった。


「……今日の夜はちゃんと寝ればいいか。」


そう呟き、軽く体を伸ばすと、先程採集してきた薬の複製の続きをしようと、杖を展開した時だった。


「……お、おはよう。」


まだ警戒するような怪しむ声色が聞こえ、ルーチェは入口の方を見る。
そこには、昨日、真っ先に手当して欲しい、と声を上げた男が、トレーみたいな石を抱えて立っていた。


「…おはよう。どうしたの?」


「い、いや、昨日見てもらった腕が少し傷んできて…。
見てもらうついでに、朝飯、持ってきた。なんでも、金髪の爆乳美女が、ルーチェさんは時折食べることも眠ることも忘れて治療にはげむからって、こいつ持ってきた。」


そういうと、トレーらしき物をん、と前に突き出す。
そこには、肉を煮詰めたスープらしきものが乗っていた。


「……あとで食べるから、そこに置いておいて。それよりも、外にある椅子に腰掛ける。」


「はあ?なんも食べてねぇんだろ?だったら…」


「腕、痛むんでしょ?診察する。いいからすわって。」


ルーチェが淡々と言い放つもので、男は言われたとおりに、外に設置されていた台の上に食事を置き、石でできた椅子に腰掛けた。



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