第15章 Z=14 完璧な医者と不完全な魔導士
「…とりあえず、これで大丈夫。しばらくは安静に。毎朝必ず来てね。」
「お、おう。わかった。」
「それと、激痛が長引くようなら必ず来ること。…やむを得ない場合は、魔導力を使う。」
ルーチェがそういうと男は顔をしかめる。
が、すぐに状況を飲み込んだのだろう。コクっとうなずいた。
ルーチェがお大事に、というと男は短く頷き、その場を後にした。
「お、俺も見てもらっても…」
ルーチェの治療の手際を見ていた帝国民のうちの一人がルーチェに声をかけた。
ルーチェは無言でうなずき、男の患部の診察を行った。
丁寧な診察、正確な処置、それらを見ていた司帝国側の負傷者が列を成してきた。
「…あの人、母親とは違うのか…」
「顔立ちは似ているけど、ひとりひとりに向き合っているのね。」
ルーチェが一人目の診察を終えてから数時間…
ルーチェは自分の疲れなどお構いなしに、一人一人のケガと向き合っていた。
軽傷、重症問わずに、丁寧に診察していく。
そのかいあってか、司帝国側からのルーチェの評価も、”恐怖を与える魔女の娘”から”医者”という評価に変わりつつあった。
ルーチェの診察が一区切り着いたのは夕方頃だった。
「…ふぅ、これで全員終わったかしら。カルテ、おこしておかなきゃ。。」
ルーチェは傍に置いてあった水をひと口すすると、疲れてるからだに鞭を打ち、自身のテントへと向かって歩いて行った
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