第14章 Z=13 決着
ルーチェは涙を拭う。
そして、ゲンの手を掴んで、もう大丈夫だから、と短く伝えた。
「ありがとう。そしたら、埋めようか。」
「お祈りとかはいいの?日本だと、お経あげるけど…」
「……お祈りの言葉、わからないの。キリスト教じゃないし。」
そういうと、ルーチェは持ってきたスコップで丁寧に土を掛けていく。
その姿を見て、ゲンたちも順番にスコップを回しては、シーラの遺体に土をかけていった。
やがて、シーラの遺体を埋め終わり、ルーチェは土魔導で墓石を作る。
ルーチェは千空に今が何年かを尋ねると、墓石に短剣で1文字1文字、刻んでいった。
【我が敬愛する魔導士 シーラ・ドーラ 5740年 4月〇日 没年】
刻み終わると、ルーチェは花束を添えて、手を合わせる。
「どうか、ゆっくり休んで。そして、もし父に会えたなら、今度こそ、別れたらだめよ。」
そう言うと、立ち上がりみんなの方を向く。
「皆さん、朝早くから母の葬儀に参加して下さり、ありがとうございました。きっと、母も安心して眠りについたと思います。私も母との別れは悲しいですが、母のような慈愛に満ちた人となれるよう、精進します。」
そういって一礼すると、その場に拍手が巻き起こる。
暫くして、拍手が病んだところで、千空がごほん、と咳払いをする。
「シーラの葬儀がおわったところでわりぃが、この後は発掘作業だ。ルーチェ以外のパワーチームは司ん妹掘り起こす。わかったな?戻って出発すんぞ。」
そういうと、一致団結した一行はおー!と賑やかにその場を後にした。
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