第14章 Z=13 決着
「…はじめまして、だね。うん。君がルーチェ、かな。そして、抱き抱えているのが、シーラ、だね。」
司の問いにルーチェはただ黙って頷いた。
千空はルーチェとシーラを見ると、なにやら顔を歪める。
「…決着は、ついたようだな。」
暫く無言の時間が流れる。
千空たちの周りには次々と人が集まり、何事か、と騒ぎになっていた。
その騒ぎを聞きつけ、ゲンや羽京、コハクたち村民もやってくる。
ゲンと羽京は人をかき分けながら、3人の方へと近づいた。
「ルーチェちゃん。」「ルーチェ…」
2人がルーチェの名前を呼ぶと、シーラをその場に下ろして、2人の方をみた。
「羽京さん、みんな、ごめんなさい。約束、守れなかった。私が、母様を殺してしまった……」
そう力なくいうと、ルーチェは限界だったのか膝から崩れる。
ゲンはそっとルーチェに近づいた。
羽京も、悲しいようなそれでいて安心したような目でルーチェをみる。
「……なんでルーチェがシーラを殺さなきゃいけないのか、現況はゲンたちからきいたよ。ルーチェが研究の合間を縫って魔導の勉強してたことも。ギリギリまでシーラを救おうとしてたことも。」
「それでも、救えなかった。」
周りの人達は、羽京とルーチェの会話をきき、シーラが死んだ、と認識した。
涙を流すもの、複雑な心境を顔に出すもの、それぞれだった。
それは羽京たちもそうだったのだが、ここで泣き崩れるとみなに示しがつかない、とそれぞれ涙を堪えていた。
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