第14章 Z=13 決着
「ルゥルゥ、あなたならきっと、できます。これが母からの最期の言葉…」
です、という前にシーラの瞳は閉じられた。
と、同時に、ドサッという音とともに人一人分の重さがルーチェの腕にのしかかった。
「母様、どうか、安らかに。」
ルーチェは、その場で静かにただただ涙を流した。
どれくらいの時が過ぎただろうか。
ルーチェは千空みたいにカウントする技術は持ち合わせていない。
ただ、先程までは高かった日が、いまは真っ赤に燃えている。
あの戦いから数時間は経過していることはわかった。
ルーチェは、そろそろ帰らなきゃ、と思い、母の遺体を姫抱きにする。
すると、先程までは重く感じたが、意外と持ち上げれることに少し悲しげに笑った。
「ほんと、ご飯は適当に食べてたのね。母様らしいや。」
そう呟くと、母が落ちないように、と自分に強化魔導をかける。
ルーチェは母との思い出を振り返りながら、奇跡の洞窟へと歩き出した。
司帝国に戻る頃にはすっかり夜となっていた。
科学王国VS司帝国の決着はついていたのか、司帝国の野営地ではそれぞれが協力しあい、戦車の修理やら、旅の準備やらを初めて居た。
ルーチェはただ静かに近づくと、みんなもシーラを抱き抱えているルーチェに気づき、ただ見つめていた。
ルーチェは千空たちの姿を見つけると、ゆっくりと、近づいた。
「千空…」
短くそう呼ぶと、その場にいた千空と司がゆっくりと振り向いた。
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