第14章 Z=13 決着
「おわった、のね。」
ルーチェは倒れている母を見ながら、そう呟くとそっと遺体に近づく。
だが、まだ油断はできない。もしかしたら生きてるかもしれない、そう思いながら、鑑定魔導を使い、生死を確かめる。
鑑定結果は"瀕死"
「母様、ごめんなさい。故郷に遺体を埋葬することはできない。
けど、なるべく近くに埋葬するから。」
そう呟くと、小さい声で、ルゥルゥ、と自分を呼ぶ声が聞こえた。
ルーチェは危険など顧みず、シーラにそっと近づき、その身体を抱き起こす。
シーラは呻きながらも、本来の優しい笑顔でルーチェの方をみた。
「る、るぅるぅ。よくやりました。ですが、戦いは、まだ終わっていません。」
「母様!ごめん、ごめんなさい。私…」
泣きながら謝るルーチェの涙を優しく拭うシーラ。
ルーチェはその手の感触を感じるとまた涙を目に溜めた。
「ルゥルゥ、泣かないで。仕方ないことです。
それよりも、時間がありません。大事なことを遺すのでよく聞きなさい。」
ルーチェがこくこくと頷いたことを確認し、息を吸って口を開いた。
「ルゥルゥ、私が死んだあとは、【叡智の図書館】の奥に行きなさい。そこには、我々騎士隊が心血を注ぎ守ってきた"聖剣"があります。」
シーラは1度そこで息継ぎを行う。そしてまた言葉を続けた。
「宵闇の魔導士は、"聖剣"でのみ、倒せます。わかりましたね。」
「母様、分かった。分かったから、もう喋らないで。」
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