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幻想科学物語

第14章 Z=13 決着






ルーチェはシーラの言葉を聞いてもなお、無表情を貫く。


いや、少しだけ、ほんの少しだけだが、その目は笑ってるように見えた。


「えぇ、先人たちは、まだ、開発していなかった。けど、1人だけ、開発していた人がいる。実践で使う機会が訪れないように、祈ってたみたい、だけど。」


シーラの言葉に答えている間にも、ルーチェの手首からはぽたぽたと血液が落ちていく。


その血液はやがて大地を真っ赤に染めて、広範囲に広がっていき、ある地点に到達したとき、半径1mぐらいだろうか、それぐらいの辺り一面が輝き出す。


シーラは、なにがなんだか分からず、戸惑う。


(剣は恐らく使い物にならない。そして、スティックは…相性が悪すぎる。これは、本当に、終わったわね。)


そして、ルーチェはスティックを自分の中心へともってきて、両手で持った。


「母様、ありがとう。今まで産んでくれて、育ててくれて、感謝している。だから、ゆっくり休んで。」


「な、る、るぅるぅ。本当に…」


ルーチェは涙を流しながら、笑顔で、さよなら、という。
シーラはその表情をみて自分の敗北を悟り、いやだ、と叫ぶ。


「プリフィカ・ラムール・ビ・インシレイト。」


ルーチェが呪文を唱える。
すると、2人を中心にして、ピンク色の炎が燃え上がり、シーラの身を包んだ。


シーラは最初こそ、痛みで顔を歪めていたが、段々と時間が経つにつれて、穏やかな表情になっていく。


炎は数分間出現した後、ただただ、静かに消えていき、シーラはその場にて背中から倒れた。



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