第14章 Z=13 決着
シーラが負担を覚悟して、探索魔導を唱えようとした時、だった。
「プリフィカ・ラム・アロー」
そう唱える声と共に、太い炎の矢がシーラ目掛けて飛んできた。
シーラはすぐさま盾を展開するも、その力は凄まじく、盾を割る。
間一髪のところで、避けるも矢の炎が少しシーラの腕を掠め、綺麗な白い肌に痛々しい傷を残した。
シーラは腕を支えながら立ち上がり、先程矢が飛んできた方をみる。
そこには、先程まで探しまわっていた、ルーチェが杖を構えて立っていた。
「母様、チェックメイト。」
「…驚いた。まだそんな力が残っていたの?逃げれてもどうせそこら辺で弱ってる、と思ってたのに。」
「母様の"遺品"のお陰。」
ルーチェはにこりと笑って答える。
その答えにシーラはふふ、と不敵な笑いを浮かべなにか呪文を唱える。
いな、唱えようとした。
バリッバリバリッ。
突如シーラの持っていた剣が光を帯びてヒビが入る。
と同時に手の方に焼けるような痛みを感じ、剣を手放した。
「くっ……るぅるぅ、なにをしたの!?」
「別に、何も。」
ルーチェはスティックを持ったまま、短剣を引き抜くとそのまま手首を切りだす。
シーラはそんなルーチェをただ見つめるしかなく、呆れたように口を開く。
「今度は禁忌でも使うのかしら?あなたも魔導士なら宵闇の魔導術が素晴らしいもので、禁忌の技でも叶わないってことは分かると思うけど。」
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