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幻想科学物語

第14章 Z=13 決着






ルーチェは唇を強く噛み締め、必死に考える。


(このままだと、勝ち目がない。どうしたら…)


ルーチェが考えている間にも、シーラは歩みを止めない。


観念して、覚悟を決めたとき、ルーチェは手に何かかが当たるのを感じる。
その何かを拾ってはっと、見つめる。


(小石……。一か八か、あれ、使ってみるか。)


ルーチェはバレないように、と大袈裟に蹲るフリをする。
その下になにやら小さい図式を書いていた。


やがてシーラがルーチェの近くまできて、その首筋に剣の切っ先を当てる。


「最後に聞くわ。私と一緒に闇の時代を共に築きましょう、るぅるぅ。そうすれば、あなたは永遠に生きられるのよ。」


「…キール先生や村のみんなは、そんな事は言っていない。もちろん、母様も。」


ルーチェは息も絶え絶えに、小さい声がしっかりとした声で告げる。
そして、最後の力を振り絞って、シーラの顔を見あげた。


「母様。目を覚まして。宵闇を打ち破って、もどってきて。」


シーラの紫に近いピンクの瞳をまっすぐに見つめ、訴える。


ルーチェの渾身の訴えが聞いたのか、険しい目つきが少しだけ緩まった。


かのように見えたが、すぐにクスリ、と笑い出す。


「あははは、訴えても、無駄よ?シーラ・ドーラは宵闇様の力に侵食され、その性格は塗り替えられたの。全てを支配したい、という欲まみれになった。あなたがどれだけ訴えても、無駄、よ。」


「…そんな。」


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