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幻想科学物語

第2章 Z=2 来訪者A





ルーチェの方はそうもいかず聞きたいことがあるようで引っ込めようとはしない。


そんな様子を悟ったのか、千空はルーチェに指示を出す。


「ルーチェ、いまはこいつ殺す場面じゃねぇ。短剣をおろせ。」


「でも…」


(母様の暖かい炎の魔導力。なんで、こいつから?)


意地でも降ろそうとしない、ルーチェを千空が睨む。


ルーチェはその目線を感じ取り納得できない表情をするも、渋々短剣を降ろす。


ゲンはありがとねーとルーチェの方をみて、ルーチェの顔立ちに驚く。


(ピンクの瞳はこちらの方が薄い?いや淡いピンク。けど、顔のパーツはほぼ同じ。目の大きさもこっちの方が大きいが、ほぼ似てる。あの女に…家族、姉妹、かなぁ?)


暫く3人は固まってたが、やがて夜も更けたため、千空は一旦解散、と短くお礼を伝え、村人を村に返す。


科学王国民も、作業も程々に切りあげた。


3人とも無言ではあるが、ラーメンの残りを食し、ゲンは、千空と製鉄所を交互に、千空は夜空を、ルーチェは、ゲンから感じる母の魔導力について考えながら火を、それぞれ見つめていた。


3人の異様さにクロムとコハクは、どうしたもんかと不思議そうに顔を見合わせる。


暫く様子を見守っていたが、とても話が出来る雰囲気でもなかったため、俺たちはもう休むからなぁ、テメェらも程々にねろよ、といい、倉庫にもどる。


3人はその日、それぞれ、眠れぬ1夜を過ごした。



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