第14章 Z=13 決着
千空の、死者数は0だ、という言葉に勝利の雄叫びを上げる村民たち。千空たちは奇跡の洞窟の奇跡の水、硝酸を見つめて感動にひたっていた。
クロムと大樹は、硝酸を奪い返したことでガッツポーズをする。
大樹はここまで戦い抜いた1年間を振り返り涙し、クロムは千空から聞かされていた復活液の大量生産への歓喜の声を上げた。
しかし、そんな2人なんぞお構い無しに千空は戦車へと歩いていき、何かを探していた。クロムと大樹は千空の後を追いかける。
「おう、何やってんだ、千空。もっと喜べよ。」
「ははは、千空はいつも冷静だからなぁ。喜ぶのが遅いんだ。」
おーい、千空、と大樹が叫ぶと、ちょうど探してたものが取り出せた千空が顔を出す。
「あぁ、勝利のおパーティーで楽しくうぇーいってしてぇところだがなぁ。チンたら遊んでる暇はねぇ。速攻で火薬作んぞ。」
千空の言葉で勝利気分だった2人も我に返る。
そう、奇跡の洞窟は奪還したが、司と氷月を倒した訳では無い。
中にいるゲンも手伝い、火薬作るために必要な材料を3人で手分けして運ぶ。
クロムと大樹は火薬ゲットで科学王国の完全勝利を信じ、再び浮かれていた。
そう、見回りに行っていたルーチェと、洞窟付近で見張りをしていた羽京がなにかの気配に気づくまでは…
ルーチェは急いで結界を展開するも、その結界はすぐにパリン、と音を立てて、崩れる。
ルーチェが、驚いた顔をしつつも、また新たな結界を貼ろうとした時、後ろから聞こえた声にその身体を固めた。
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