第13章 Z=12 共闘
ゲンが少し拗ねたような笑顔で羽京に言うと、ごめんよ、と苦笑いしながら謝る。
そして、誰もいないはずのゲンの隣に視線を移した。
「大樹や杠、ニッキーには分からないと思うけど、ソナーマンの僕の耳はごまかせないよ。それこそ、魔導でもつかって音を消さない限りは、ね。」
羽京の言葉に観念したのか、ルーチェはすっとスティックを回し、その姿を表した。
その顔を見ると、やはり、大樹や杠、ニッキーは少し険しい目つきでルーチェの方を見るが、羽京だけは、変わらず優しい目つきでルーチェを見ていた。
「はじめまして。ルーチェ、だね。僕は西園寺羽京。羽京って呼んでよ。」
「ルーチェ。よろしく。」
羽京が右手を差し出すと、ルーチェも無表情のまま右手を差し出し、握手を交わす。
「ほんとに、シーラそっくりだね。身長が一緒だったら間違いなく勘違いするよ。」
「…身長は父ゆずり、らしい。」
羽京が友好的に会話をしようとするも、ルーチェはただ短く答えるだけだった。
羽京はそっか、とだけいい、握手をしていた右手を離すと、ルーチェは、今度は大樹と杠、ニッキーの方へと歩いていく。
大樹が杠を守るように立ち、ニッキーはなんの用かい?と視線で語りかける。
ルーチェは3人と少し離れた場所で立ち止まり、深々と頭を下げた。
「母があなた達に恐怖心を与えていたこと、まずはお詫び致します。
申し訳ありませんでした。」
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