第13章 Z=12 共闘
「……羽京さん、といいましたね。私はルーチェです。」
「…はじめまして。氷月から話は聞いているよ。シーラの娘だね。てことは、きみも魔導士、という存在かい?」
ルーチェはこくり、と頷く。
そして、唇を少し震わせながら、ケータイに向かって話し続ける。
「結論を先に伝えます。科学王国勝利のためには母を殺すしかないでしょう。最低でも1人、もしくは2人、死人がでます。」
「……つまり、君たちのどちらか、あるいは、両方死ぬかもしれない、ということ?」
「生け捕りにする魔導術はあります。ですが、母様に効果があるのかは、わかりません。それに、母様を殺さないと石化以上に酷い結末が待っています。」
「……それはどうしても避けられない戦い、なんだね。」
ルーチェから聞かされた言葉に絶句したあと、優しく話しかける羽京。
ルーチェは短く、はい、とだけいうと、暫く無言の後、はぁ、とため息が聞こえた。
「シーラであっても、本当は死んで欲しくない。でも、なにやら事情がありそうだね。わかった。ルーチェとシーラの件はカウントしない。」
千空とゲンは羽京の言葉を聞き、後ろでほっとするも、ただし、という言葉で2人は改めて険しい表情になる。
「千空、君には誰一人死なないこと、それを守ってもらう。もし、血が流れたら、その時は僕も容赦しない。」
「ふへへ、おもしれぇ。乗ってやる。問題ねぇ。あわよくば、無血開城が、絶対、に変わっただけだ。」
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