第13章 Z=12 共闘
ゲンは、目の前に差し出された手にこてん、と首を傾げた。
「ルーチェちゃん?急にどうしたの?」
「入口までワープする。ここからだと遠い。」
ルーチェがそういうと、ゲンは青ざめた様子で口と目を開ける。
そして、すぐに首を物凄いスピードで振り始めた。
「いやいやいや、千空ちゃんからきいたよ!?ワープ使うの危険だってこと!俺、まだ首と体とはお友達でいたおよぉおおぉ。」
ゲンは以前千空からきいた話を思い出し、ジーマーで、リームー!と叫びながら後ずさる。
ルーチェははぁ、とため息をついて、ゲンを追い詰めるかのようにゆっくりと迫った。
「時間、ないでしょ。なら、ワープしかない。大人しく私の腕を…」
「いやだぁぁぁぁぁ」
いくら魔導で作られた図書館と言えど、無限に広い訳では無く、ゲンは後ろに感じる冷たい壁の感触に、もう逃げられない、と悟りガタガタと震え、その場にしゃがみこむ。
ルーチェのほうもゲンに追いつき、ゲンの顔の横に手をコツンと当て、壁ドンし、しゃがみこんだゲンの顎を持ち上げ、自分の視線と絡ませた。
「安心して?今なら失敗しないから。」
安心させるような優しいトーンでいうと、ゲンは一瞬ぽかんとする。
震えもとまり、ルーチェの顔をまじまじと、見つめていた。
(なんでだろう、ルーチェちゃんの声、だいぶ落ち着く。)
ゲンは無意識に、頬を赤く染めあげたまま、わかった、と短く返事をした。
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