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幻想科学物語

第13章 Z=12 共闘






スチームゴリラ号の改造は思っていたより早くにおわり、あとはクロムを助けに行くためのルートをみんなで話し合っていた。


そこへクロムを抱えたコハクがやってきた。その姿を見た村人たちは、歓喜の声とともにクロムの無事を祝う。


「にしても、よく本陣がわかったな。」


「いや、分かるわけねぇだろ。こいつのお陰だ。」


そういうと、クロムは握っていた石の欠片をみんなに見せる。
石の欠片からは若干光っており、ルーチェの方を指していた。


「なるほど、ルーチェちゃんの"お守り"が導いてくれたんだね。
でも牢屋は?どうやって突破したの? 」


ゲンの質問に、クロムはきいておどろけぇ!と前置きしたあと脱出方法を語る。まとめると、水酸化ナトリウムをつくって縄を溶かして脱出してきたらしい。


作り方を聞いた千空は、それはジアン塩素酸だ、と訂正したのち、牢獄脱出方法としては大正解、百億満点だな、と褒める。


「ねぇ、クロム、その血は?」


クロムの口元に赤い血がついてるのをルリがみつけ心配そうに尋ねると、クロムはにやり、と笑ったあと咳き込む。


ルーチェが、慌てた様子でどいて、と周りの人を押しのけ、クロムの脈を見たり、背中を摩ったりする。


クロムの脈は走ってきたからか少し早いだけで、とくに異常が見当たらず、ルーチェは不思議そうに首を傾げた。


千空はクロムが吐き出した血液を取り、匂いを嗅ぐと、突然笑い出す。


「ルーチェ、慌てることねぇわ。にしてもクロム、こんなもんでだまくらかしたんかよ。」


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