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幻想科学物語

第13章 Z=12 共闘






「どうしても、と言うなら、これを渡しておく。」


そういいながら、牢の前にこてん、とピンクの炎に燃える石を何個かつなげたものをおいた。


クロムは其れをそっと拾い、腕に着ける。


「…使い方は?」


「壊せば使える。何も無いところでぶつかったらそれは間違いなく結界だから、勝手に壊れてくれる、と思う。そしたら、同時に結界が敗れて、進めるようになる。」


「……あぁ、わかった。」


クロムが頷いたことを確認すると、ルーチェは長居しすぎるのは良くない、といい、その場から離れようとする。


クロムは、ルーチェ、と短く名前を呼ぶとルーチェは前を見たまま立ち止まった。


「なに?あまりここにいると、母様にバレる。用があるなら…」


「おふくろさん、元気そうだった。それだけだ。」


クロムが短く伝えると、ルーチェは小さい声でありがとう、とだけいって、司帝国の上空へと飛び上がった。


(元気なら、よかった。ニッキーさんからも聞いていたけど、それでも不安だった。)


ルーチェは飛びながら、シーラのことを考えていた。


そして、今度母にあったら聞きたいことが沢山ある、説教もしないと、と思いながら、司帝国の入口で降り立ち、野営地へと走っていった。


遠くから、それを眺める1人の影があるとも知らずに……


「あら、あの子がとうとうここまで…。ふふ、もうすぐ会えるのね。」


ルゥルゥ、と耳にまとわりつく不快な高い声で呟くと、その影はクルッと背を向け、拠点へと戻って行った。


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