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幻想科学物語

第13章 Z=12 共闘





ルーチェはある程度離れたところまでいくと、プロテクタを使い、自身の姿を消す。


そして司帝国本陣に近づき、何も結界がないか、慎重に歩みを進める。


「ビューイング」


そう唱えると、景色がところどころ、黒い壁みたいなもの、つまり結界が見えた。


(やはり…問題は罠とか仕掛けられていないか、ね。スイカのことも心配だし、今は、そっち優先ね。)


ルーチェは壁にそって、歩き出す。
しばらく歩くと、スイカがぐすん、となきながら蹲っているのがみえ、透明魔導を解除してスイカの方へと走った。


「スイカ!」


「ルーチェ!ぐすん…スイカは……お役に、たてなかったんだよ。」


ルーチェの姿を見つけて泣きだすスイカの体をそっと抱きしめる。
よしよし、と暫くあやすと、スイカも落ち着いてきたのか、少しずつ明るさを取り戻していく。


「スイカ、スイカはお役に立っているよ。ここからの偵察は私に任せて、野営地に戻る。」


「ふぇ、ぐすん…でも、それだと……」


「千空のお手伝いの方が、みんなのお役に立つよ。だから、先に帰ってて。私は後から追いつく。」


約束よ、といって小指を絡ませると、スイカも、約束なんだよ!といって自分の小指でルーチェの小指をぎゅっと握り返す。


2人は短い指切りを交わし、スイカは野営地の方へと転がって行った。


「ここまで来たら、バレるのも時間の問題よね。プリフィカ・エクスプリア!」


光魔導を唱えると、目の前の結界が1部溶けだした。


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