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幻想科学物語

第11章 Z=10 それぞれの贈り物






「あー、ルーチェ、わりぃ。クロムきてねぇか?」


入口から千空の声が聞こえたため、クロムを隠すように入口の方にたつ。


「いるけど…。てか、今度はなにをつくったのよ。」


「あ゛ぁ?てめぇらお医者サマがお涙垂れ流して喜ぶもん、ホルマリンだ。どうだ、嬉しいだろぉ。」


(うれしくないし、何作っちゃってんのこの人。)


相変わらずのマッドサイエンティストスマイルで言い放つもルーチェは目線で嬉しくない、と訴えた。


「あぁ?まぁなんでもいいわ。それより、クロム。てめぇは化学チームだ。ルーチェ、そこどけ。」


「もう暫く休ませて。」


「はぁ、わぁったよ。その代わりルーチェ、てめぇが手伝え。医者なら多少化学わかんだろ。」


わかるわけない、と呟きながらも震えているクロムを出せば恐らく事故が起きるのは火を見るより明らかで、わかった、と了承する。


「千空、なにするの?」


「あぁ、石炭の燃えカスが欲しいんだが、今数がたんねぇ。ガンガン火ぃくべてたいりょうに…あ?」


千空が歩きながら解説していると、ある光景が目に留まる。
それはスイカたち電線チームが寒さに手を震わせている光景で、ルーチェもこれはまずい、と思ったのか、千空に提案する。


「千空、その石炭なんだが…」


「あぁ、作るしかねぇな。カセキにはややこしいもん任せてるし、ルーチェ、作れるか?」


「ロードマップがあれば、なんとか作ってみる。」


そう言うと、2人はハイタッチを交わし、千空は任せたぞ、職人魔導士サマ、といった。


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