第11章 Z=10 それぞれの贈り物
さて、ルーチェたちの涙ぐましい研究と、千空とゲンによる地獄のタングステン加工が同時におわり、無事タングステンのフィラメントが完成した。
そして、あとはカセキが真空管作るための装置、化学チームがプラスチックをそれぞれ制作し、あとの部品は大量生産するだけ、となった。
こうなるとルーチェは、1度薬品のチェックがしたいとの事で、診療所に引きこもり、サルファ剤の状態やら漢方薬局の確認をおこなった。
「とりあえず、異常なし。さて、ココ最近村の人たちの顔見れてないから回診いこうかな。」
軽く伸びをして、回診の準備を始めていると、クロムが死体とけるーーー!と叫びながら診療所にやってきた。
「る、るるるる、るぅうぅちぇええぇ。」
「クロム落ち着いて。なにがあったの?」
「せ、せせせ、せんくううぅうがああぁあ」
ルーチェは千空がどうせまたとんでもない薬品を作り出したんだろう、と予想をつけてため息を着く。
ルーチェは、自分で作ったエレメント石を壊して熱を持たせる。その上にやかんをのせて、お湯を沸かしはじめる。
棚からコップを取り出し、中にどこかでつんできた生姜と少しのはちみつを入れる。
暫くするとお湯が湧いた音が聞こえたので、生姜と蜂蜜をいれたコップにお湯を入れて匙でとかし、クロムに渡した。
「とりあえず、それを飲んで落ち着きなさい。」
「お、おう。サンキュー。」
コップを受け取ったクロムは、フーフー、と冷まして口にした。
.