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幻想科学物語

第11章 Z=10 それぞれの贈り物






「いやまぁねぇ、俺のうろ覚えでロードマップかいたんだけどね。出来は良くないかもしれないけど、村のみんな総出でがんばってくれちゃったのよ。多少の調節機能はルーチェちゃんが着けてくれたからさ、あとは、千空ちゃんの使いやすいようにしてよ。」


そう言うと、癖なのか、ふん、と目を瞑って笑う千空。
金狼の変なヤジを華麗にスルーし、いつものお決まり文句、てめぇらやるじゃねぇか、実に実用的だ、だのと合理的な感想を述べる。


が、暫くして、ふと疑問に思ったことをきいた。


「男が自分の誕生日なんつうもん、いちいち話すわけもねぇ。なんで今日ってわかった?」


「ほら、みんなで初日の出、見にいったときに、教えてくれたじゃない。生きてた日数。」


「あぁ、あれが、誘導尋問か。っつても、俺が石化解けた日付知らないと逆算はできねぇ。」


「覚えてない?奇跡の洞窟のそばに千空ちゃんが目覚めた日付を書いていたことを。」


ゲンは石化が解けたであろう日付が書かれた大きな木のことを思い出したのか、涙ぐみ、千空の隣に立って星空を見上げながら言葉を重ねた。


「思えば、最初から会う前から、割とすきだったのよ。千空ちゃんが。損得は置いといてさ。村のみんなもそういうことでしょ。千空ちゃんは気持ち悪い、とかいうけどねぇ。」


ゲンの方をちらりと見たあと、再び星空を見ながら、あぁ、気持ち悪い、と言葉を返すも、どこか嬉しそうに、そっと微笑む千空であった。



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