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幻想科学物語

第11章 Z=10 それぞれの贈り物






解放されたルーチェは、一言ゲンに文句言おうと、ゲンのいるであろう、後ろに視線をやると、そこにはゲンは居なかった。


どこに行ったのかと、きょろきょろ見回しているうちにルーチェは動きを止める。


目の前には、医療道具が入った箱をもったゲンと、その横には小さな木箱をもったルリがいた。


「これ、メスとか、ピンセットとか…あとは、針?で、ルリの方は、アクセサリー収納箱?」


ルリはクスリ、と笑うと木箱をガチャっと開けて見せて中身をみせる。
そこには翡翠色に近い緑に輝く小さな小ぶりのチャームが着いたネックレスと、革の細ベルトが入っていた。


「ルーチェちゃん、怖い思いさせてごめんね。渡すなら今日しかないかな、とおもってさ。この村で頑張ってくれたのは千空ちゃんだけじゃない。ルーチェちゃんもみんなの為に色々と頑張ってくれたじゃん?だから、その、お礼の品物、だよ。」


「私をはじめ、村のみんなの助けとなってくれたこと、巫女として感謝します。これは、ルーチェさんへの感謝の印です。」


顔を上げると、いつの間にか、みんなの視線がルーチェにあつまっていた。ルーチェは泣きそうになるのを堪えて、深く深呼吸して村民たちを見た。


最後に、ルリとゲンの方をみて、ふっとわらう。


「ありがとう。医療道具は大事に使う。アクセサリーは、これ、マラカイトと、革ベルト?」


そう言うと、ゲンがクスリと笑いながらルーチェに近づく。


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