第11章 Z=10 それぞれの贈り物
ルーチェが先程と同じ手順で図書館への扉を召喚し、エントランスにたどりつくと、扉と階段が現れた。
どうやらキールに認められたもののみここに自由に立入ることが許される、という仕組みらしい。
そして、目の前の壁にはエレベーターらしきもの、その少し手前の両隣には階段がついていた。
ルーチェがため息をつき、一先ずエレベーターの上からいこうと歩き出すと、床下からごごご、もの音が聞こえた。
ルーチェはじっと立ち止まると、床下から、なにやら台が伸びてきて、その上には水晶玉みたいな透明な丸い玉が現れる。
「これは、なに?検索機?」
恐る恐る、水晶玉らしきものに手を伸ばす。
少し指先が触れると、水晶玉がひかりだし、目の前に真四角の映像が現れる。
ルーチェは、ごくり、と唾を飲み込むと恐る恐るといったように、水晶玉に話しかけた。
「物作り、特にアップズームアップ、についての書物がほしい。」
流暢なウール語で話しかけると、映像から小さな妖精みたいなものが飛び出してきた。
「アナタは、ダレ、ですか?Mr.キールにミトメラレましたか?」
「…私はルーチェ。聖騎士隊副隊長シーラ・ドーラの娘。」
「Mrsドーラのムスメ、でしたか。イデンシジョウホウとナマエ、トウロクします。」
聞かれたことに無表情で答えると、その妖精はルーチェの指先をペロッとなめて、目が閉じられた。
しかし、すぐに目はひらかれ、再び喋りだした。
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