第10章 Z=9 科学の光と叡智の陽
村民総出がルーチェに呆れて、どーすんだよ、と頭を悩ませていると、ふと天井がひかりだす。
みなは先程の出来事を思い出したのが、警戒するが、今度はみんなを照らすような太陽のような輝きだったため、不思議そうに上を見上げる。
『望むのであれば、あなたたちの後ろに扉があります。そこから元の世界に戻れますよ。』
「あ゛あ゛?そもそもてめぇだれだ?姿を表さずにこっちにばかり語りかけて。まさか、数千年前の石化の犯人、とかいうんじゃねぇんだろーな?」
先程聞こえた声と同じ声が図書館に響いた。
千空は、犯人はてめぇだと言いたげな険しい顔つきで、すかさず聞き返した。
『数千年前の悲劇には心を痛めております。しかし、これは我々が解決出来ることではありません。人類と我が末裔とが協力して初めて解決できるかと。』
「ほーん、つまり、ルーチェと俺らが出会ったのはルーチェのお母サマがしくった訳ではなく、てめえの仕業っつーわけか。」
『…どう捉えようと構いません。後ろの扉を開けると貴方たちの帰るべき場所つくでしょう。鍵は、ここを出ると再度出現します。地球の民よ、どうか、我が末裔を宜しくお願いします。』
それだけ言うと、途端に光はきえ、千空たちの後ろに再度巨大な扉が現れる。
村民たちは訝しげに見ていたが、ルーチェはなにか確信めいたものを感じたのか扉の前に立ち、そっと触れた。
扉はきぃっと音を立てて開くと、一瞬真っ白な光景になるが、そこには見慣れたイシガミ村の景色があらわれた。
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