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幻想科学物語

第10章 Z=9 科学の光と叡智の陽






「あぁそうだぞルーチェ。ちんたらお涙垂れ流してる暇はねぇんだ。もうすぐ春だぞ。とっととケータイ完成のために洞窟探検やら、クラフトしなきゃいけねぇもんがたくさんあんだ。夜にでもこっそり泣いとけ。」


千空の心の無い言葉にもはや慣れたのか、一同はジト目で千空をみた。
が、それも一瞬のことで千空たちに残された時間は少ない。ルーチェにしばらく休みをやりたいが、そうもいってられない状況なのはみなわかっていた。


それはルーチェも同じだったのだろう。決戦のタイムリミットまであと少ししかない。科学のクラフトに協力する時間、村民たちの回診の時間などを考えるとこの奥にあるであろう図書館の知識を網羅するには時間が少なすぎた。


ルーチェは涙を拭い、気持ちを直ぐに切り替えた。


「そうね。千空の言う通り。私は大丈夫。さ、ここからで…出方わかんない。」


ここから出よう、と言おうとした時、そういえば肝心のことを先生に聞き忘れた、と今更ながらに思い出す。
ルーチェの一言にみんなは石化のごとく固まった。


「ルーチェ、てめぇなぁ。前々からどこか抜けてるとは思ってたけどよぉ。」


「こりゃ、シーラちゃんとキールちゃんが過保護になるのもわかるわぁ。こんな天然ドジな子、放っておいたら何しでかすかわかんないもんねぇ。」


「う、うむ。わしらもなるべく目を離さないようにしないと、だな。」


「はぁ、その先生とやらは魔導しか教えてこなかったのかきけばよかったよ。」


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