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幻想科学物語

第2章 Z=2 来訪者A





「ルーチェ、それは確定か?」


その雰囲気を壊したのは千空だった。
本当に救えないのか、そう目で訴えてきた。


「診察出来ない、だから、憶測。」


「ふっ、なら抗生物質を作る価値はあるってことだな?」


ルーチェは再度、あきれたような目で千空をみる。


そもそも鉄で詰んでるのだから出来上がるまでに時間かかる。
その間にでも容態は変わるかもしれない。


「作る価値はある、けど、間に合うの?」


「その為にマンパワーがいる。それでスイカに情報収集してもらってんだろ。」


なんとかなんだろ、と言いながら耳の穴をほじる。
なんとかって、貴方、科学者でしょ、と突っ込みたいところだが、顔を歪め、ため息をつく。


「わかった。今は、休息。少し、ねたら?」


クマ、ひどい、と指摘する。それもそうだと、みんなして口々にいい、1度一眠りするかーとかいいながら、倉庫の中へと消えてった。


ルーチェは流石にみんなで一緒に寝るというのは抵抗を感じたのか、みんなを見送ったあと、土器が入ってるカバンのそこからテントを取り出す。


1人分位寝れるほどの広さのテントを手早く近くに建てて、ロウソクに明かりを付ける。


中に布団を敷いて、その上にゴロンと横になり、思考にふける。


(あの千空という少年の目は希望に満ちていた。。)


微睡む意識のなか、千空の紅玉の瞳を思い出しては、自分は村のことを引きずりすぎていることに少し落ち込み、眠りについた。


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