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幻想科学物語

第2章 Z=2 来訪者A






「ルリ姉は、咳が多い。それに加えて、時々息切れもしてるな。」


「熱は?」


「熱?そういえば、ルリ姉はいつも体が暖かったな。」


「そいや、たまに血も吐いてたな。」


コハクとクロムからの情報をきき、何かを絞り込むようにして考える。
熱はわからないにしろ、息切れや吐血してる。


(あとは脈なり肺の様子なりが分かればいいのだが...)


「診察、したい。ルリの元、いけない?」


「無理だろー。千空が俺の倉庫で寝泊まりしてんのも、余所者は入れちゃいけないという掟があるからなぁ。」


村の掟。
大体余所者は入れないというのがルール、と言われれば、それまでだ。
せっかく救おうとしてるのに余計な揉め事を起こすようなことはルーチェとしても避けたいところだ。


とりあえず、診察のことは一旦起き、結論がでたのかみんなの方を向く。


「ルリ、とやらの病気。最悪のケースで、癌もしくは結核。救うことは難しい。ただし、ストレスが原因なら、何とかなる、かも。」


「「ストレス?」」


「ルリ、多分偉い人、ちがう?」


「あーまぁ、ルリは村の巫女だからなぁ。」


「なら、負担、大きい。耐えられないの、かも。
ストレス以外にも、昔の病気、再発してることも。」


ルーチェの話を聞き、クロムとコハクはすこし不安げにお互いの顔を見合わせる。


大事なルリが死ぬしかない病気かもしれないと思うと、恐ろしくなり、みんなは黙り込んだ。

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