• テキストサイズ

幻想科学物語

第10章 Z=9 科学の光と叡智の陽






「あぁ、てめぇら、新年早々、仕事始め、だ。洞窟探検のための準備すんぞ…」


千空が意気揚々と村民に指示を出そうとした時、もうひとつ光り輝くものをみつけた。


その光はルーチェの胸元から輝いており、今度はみんなの視線がルーチェに向けられた。


ただ、ゲンはなにか心当たりがあったのか、ルーチェに問いかけた。


「ルーチェちゃん、それって…」


「うん。これは、母様から預かった、"鍵"。でもなんで、今光ってるの?」


ルーチェは恐る恐る、"鍵"のチャームに触れる。
とくに熱いとか冷たいとかそういった不快な感覚はなく、ただ温もりを感じた。


不思議に思いながらも首から取りだすと、いっそう輝きが増し、直視できないのか、腕で目をおおう。


「ルーチェ、それなにでできてるか、きいたことは?」


「これ、初めて見るの。母様からの届け物だって、ゲンから聞いた。これがなにかはわからない。」


「ッチ、せっかく問題が片付いたと思ったら別の問題か。ちょっとみせてみろ。」


そういって千空はルーチェのもつ"鍵"のチャームに触れようとする。
すると、今度は激しい炎が燃え上がった。


まるで、ルーチェ以外触れることを許さない、といわんばかりに。


『現世に生き残る最期の末裔よ。その血と"伝承の詩-ウタ-"を捧げよ。』


「おん?誰かしゃべったか?」


「いや、だれもなにも。そもそも詩はともかく、血を捧げよ、なんて物騒なことを思いつくのは、この村にいないと思うが。」


.
/ 363ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp