第10章 Z=9 科学の光と叡智の陽
そしたら今の声は全員に聞こえた幻聴か?とみんなして頭をひねるが答えは出ない。
ひとまず、帰って洞窟探検の準備をするために戻るか、という意見で一致した。
しかし、もう一度、その声はこちらに語り掛けたことにより、再びみんなは動揺し出す。
『あぁ、最期の我が末裔よ。先人たちが残した"鍵"を手にした末裔よ。さぁ、血と詩-ウタ-を捧げなさい。沈まぬ陽の時代を取り戻したくば。』
沈まぬ陽の時代、その言葉に聞き覚えがあったルーチェは、なにかに取りつかれるように、よろよろと崖の縁へと歩いていく。
「おい、ルーチェ、もどるぞ。わけわかんねぇ現象に構ってる暇はねぇ。っておい、きいてるのか。」
「…千空すこし、だまって。」
ルーチェは太陽の方を見つめながら、千空に強く言う、
千空はなにやらいつもと様子がおかしいルーチェのことを不審に思い、コハクに連れ戻すように指示をだす。
コハクはあいわかった、といってルーチェの背後から忍び寄ろうとするが、それをゲンが食い止めた。
「ゲン、君はルーチェが死んでもいいというのか。」
「コハクちゃん、いまはだめだ。千空ちゃんがあれに触ろうとした時、燃え上がったよね?今近づくのは危険だよ。」
「それは、そうだが…」
後ろでコハクとゲンが揉めているうちに、ルーチェは何かを理解したのか、自身の親指を切り、"鍵"に血をつける。
そして、まるで"鍵"を太陽に向けて捧げるように手放すと、透き通る綺麗な声で、長々と詩をよみはじめた。
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