第10章 Z=9 科学の光と叡智の陽
さて、道中、現代組が暦と自分の歳の話をしていて、ときおり、コハクが突っ込む、という特種な会話をしているうちにはげ山の頂上へと到着した。
他のみんなは今年は晴れてよかった、とか、久しぶりに見る初日の出と、ワクワクしながらその出現を待っている。
ルーチェはこんな大勢の前でひざまずくわけにはいかず、ただ"鍵"を握りしめて心の中で太陽の光女神に祈りを捧げる。
すると、祈ってるうちに朝日が顔を出し、スイカの持っていた石が紫外線に反射し一瞬だけ輝くと元に戻った。
村民たちはその石に釘付けになりスイカの持っている石をまじまじと見つめ、千空はよろよろとその石に惹き付けられるようにスイカにちかづく。
「な、なんで光るんだよ!?」
「あぁ、こりゃ灰重石っってな。紫外線が当たると青く光る。紫外線の反応が強くなる時間は朝日が出る直前、つまり今だけなんだ。」
「この一瞬だけ光る、魔法の石だね。」
「初めて見たわ、こんなものをよぉ。」
「あぁ、俺も初めて見たわ。ウルトラレア鉱石だなぁ。クロム&スイカ超絶グッジョブじゃねぇか。こいつは現代のフィラメントにも使われる原子番号74、タングステン!熱に負けねぇ全宇宙最強の金属だ!」
千空が珍しく紅い瞳を大きく見開き、歓喜に震える声でその石の正体を語り出す。
村人たちは、これでケータイ作りがすすむぞー!と喜んでいた。
ルーチェも、その光景に自分の悩みなど忘れて素直に喜んでいた。
その胸元が光り輝くその時までは-----
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