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幻想科学物語

第10章 Z=9 科学の光と叡智の陽






「配線の膨張、か。ルーチェ、これ何とかできるか?」


「……なるべくがんばってみる。」


「あぁ、是非頼むわ。もちろん俺も立ち会う。」


ルーチェは、まず、膨張が問題なら、配線をつよくしてみては?と竹のフィラメントに普通の強化魔導をかける案を提出した。


千空は、この際だから思いつくもの全部やってみるか、とフィラメントだけでなく、ガラスの球体のみ強くしたもの、フィラメントのみ強くしたもの、どちらも強化したものを作って欲しい、とたのむ。


どちらにせよ、魔導陣さえ描けばどれも簡単なものなので、快くひきうけると、スティックを展開して魔導陣を描きはじめる。
今度はクラフトチーム側がルーチェをみまもった。


「千空、さっきはカセキジィちゃんもみんなも何もしてないのに、なんで電球がわれたんだよ?」


ルーチェが陣を描いているあいだ、スイカは千空に質問をする。
千空もスイカの方を向いて、真剣に答えた。


「さっき根元から割れたのは、根元に指してある金属線がリン燃やした時に膨張する。その数ミクロンの差でガラスが割れたんだ。」


「でも、そんな精密な世界に、ましてや戦闘極振りのルーチェちゃんの力で何とかなるの?」


ゲンが不安そうに口を挟むと他のみんなも、不安そうにルーチェをみつめる。
千空もいまはただ、ルーチェの実力と運にかけるしかなく、ただひたすらルーチェの方をみつめた。


ルーチェも背後から視線を感じとったのだろうか、魔導陣を描くてが少しだけ震えていた。


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