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幻想科学物語

第9章 Z=8 現代科学の灯火






ルーチェとスイカは子供たちやご隠居と一緒に昼食をとった。
子供たちはルーチェに好意的であったが、ご隠居の中にはまだ快く思わない者もいるのか、警戒されているような視線を向けられていた。


ルーチェも、こればかりは当然、とおもいながら、苦味があと引く猫じゃらしラーメンを口にする。


(そういえば、寒くなってきたってことは、もうすぐ、クリスマス…その前に私の誕生日か。石化前は母様が盛大に祝ってたっけ。クリスマスは当日は学校の友達と、その翌日に村の子供たちとプレゼント交換したっけ。なつかしいなぁ。)


猫じゃらしの苦味からなのか、それとも、子供たちを見つめていたからなのか、ふと冬の風物詩、クリスマスを思い出す。


ルーチェたちの村では、季節の行事は前日もしくは翌日に行われていた。それは、地球人との交流のため、とシーラに教えられた。


ルーチェは一時期、そんな2回もやってられるか、とヤケになって引きこもったことや、見兼ねた母に騙し討ちのようにイベントごとに連れ回されたことなどを思い出し、感傷に浸っていた。


「おや、あんたも泣くんだね。大丈夫かい?」


ルーチェはしばらく思い出に浸っていると、ふいに下の方から声が聞こえた。声の方を振り向くと、ご隠居の1人が心配そうにルーチェを見つめていた。


ルーチェはご隠居の言葉に、頬を伝う暖かい液体を今更に感じ取り、手で拭った。


「あ、ごめんなさい。少し、故郷のことを思い出して…」


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