第9章 Z=8 現代科学の灯火
やがて、季節はめぐり、葉っぱも紅く色づく季節となった。
イシガミ村は水力発電のおかげで人手もだいぶ楽になり、コクヨウと千空の話し合いの結果、村民たちを冬備えをするチームと、ケータイ作成チームと2つに分かれた。
ルーチェは、冬備えチームであったが、医者の役割も大きかったため、科学王国の女子寮を診療所兼ルーチェの寝室として改築された小屋で治療や漢方手入れ、その他衛生用品の作成をしていた。
冬備えチームや、ケータイ作成チーム、どちらも危険を伴い、とくに千空とクロム、銀狼はしょっちゅうルーチェのお世話になった。
銀狼はともかく、千空とクロムに見かねたルーチェは3人分の手袋作成に勤しむ。
「私は医者なんだけど…」
「医者がどうしたんだよ?ルーチェ」
独り言を呟いていると、声が聞こえた。
入口には猫じゃらしラーメンっぽいものをもってスイカが立っていた。
「スイカ、どうしたの?」
「そろそろお昼の時間、なんだよ。ルーチェも疲れてるようにみえたんだよ。だから、一緒にラーメンを食べようとおもってもってきたんだよ!」
猫じゃらしラーメン、と聞きかつての味を思い出したのか複雑な気分になる。が、子供好きなルーチェが、幼い少女のラーメンを一緒に食べたい、との申し出に嫌とも言えず。
彼女はそっとスイカの元に歩み寄り、ふわりと頭を撫でる。
「あ、ありがとう。そしたら、天気もいいし、お外で一緒にたべる?」
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