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幻想科学物語

第9章 Z=8 現代科学の灯火






金狼と銀狼の涙ぐましい働きのお陰で、村全員分どころか、何本か余るほどのわたあめ完成した。
村人たちには好評であり、わたあめをひと舐めすると、みんな蕩けたように美味しい、と口々に褒めたたえた。


もちろん、それはルーチェにも渡されたのだが…


「はい、ルーチェちゃん。1口たべてみなよ。」


「糖の固まり、体に悪い。」


「んじゃ、はい、あーん。」


ルーチェは甘い物が苦手、というよりも体に悪いことや砂糖依存の観点から中々口にしようとしなかった。


ひたすらに拒むのでゲンの方も意地になっていたのだろう。
わたあめを1口分つまんで、そっぽを向いてるルーチェの口元に押し付ける。


押し付けられたわたあめの感触に驚くと、舌先がふわっとした感触を捉え、目を見開く。仕方ないので、モグモグと食べた。


「甘い…」


「でしょー!ほら、もっと食べなよ。」


そういって、ルーチェにわたあめをもうひとつまみ食べさせると、今度はパクリ、と食べた。


その光景に、村人達が釘付けだったが当の本人たちは気づかずしばらくゲンによる餌付けが行われた。


わたあめの試食会もそこそこに、 その日はお開きになった。


現代組は成果の程を確認するがてら、夕食を囲んだ。
その時に、もう少しデータが欲しいという事で、ルーチェは予備の糖の結晶を作るべく、村へと戻る。


作業もひと段落つき、糖の結晶をつめた瓶を抱えたまま、その場にて眠りにつくルーチェであった。


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