第7章 Z=6 医者と魔導士と科学者と
「まじまじと見てないで、早く行く。」
そう言ってゲンの手を引っ張ってスタスタと歩いていく。
ゲンは、ちょ、まってよ、と言いながらルーチェのスピードになんとかついていった。
道中はどちらとも言わずただ無言で橋を渡り、村へとむかう。
村に近づくと、そこは既に宴会会場となっていたのか、飲めや食えや騒げや、と一通り騒ぐ声が聞こえた。
村の中に入ると、ジャスパーをみつけたのか、ルーチェはゲンと手を繋いだままジャスパーの元へと走る。
ジャスパーはこちらに向かってくる、ルーチェとゲンを捉えると、足を向け2人に近づいた。
「こんばんわ、ジャスパーさん。」
ルーチェは、癖なのかスカートをつまみ、優雅なカーテシーをする。
ジャスパーは彼女なりの挨拶なのだろうと捉え軽く会釈する。
「おお、ルーチェか。よくきてくれた。そして、君も。今日は君たちが主役だ。後で千空たちも来るだろう。皆もそんなに酔ってないし、一緒に挨拶回りにいかないか?」
「はい。ぜひご一緒に。」
ジャスパーは、うむ、と頷いたあと、ルーチェの前を先行するように歩き出す。
ルーチェもその後ろに続こうとした。当然ゲンも一緒に、と思っていたのでゲンの前に手を差し出す。ゲンは、一瞬戸惑うも、誘いということにきづき、やんわりと制した。
「俺は今回なにもしてないからね。後ろの方でご飯つまんでるよ。」
そう言って、手をヒラヒラさせて橋の近くの焚き火に向かってあるいていった。
ルーチェは胸に切なさを感じ取るも、それもそっかと納得して、ジャスパーの元へと急いだ。
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